閉店・閉館・倒産情報の地域データベース 更新 2026-10-22

働く方向け

勤務先が倒産したらやること未払いの給料・失業給付・健康保険と年金の手続き

公開 2026年10月22日(木) 文:閉店ナビ編集部

ある日、会社から突然「今日で事業を停止します」と告げられたり、弁護士名の通知が届いたりする。勤務先の倒産は、収入が途切れる不安と、慣れない手続きが一度にやってきます。この記事では、会社で働いていた方に向けて、未払いの給料や退職金を受け取る方法と、退職後の生活に関わる手続きを、期限の短い順にまとめました。金額や日数は2026年10月時点の制度にもとづいています。

最初にやること

  1. 状況を確かめる:破産なのか、民事再生などで事業を続けるのか。破産なら、破産管財人(弁護士)の案内を確認する
  2. 書類を手元に残す:給与明細、雇用契約書、勤務の記録、退職金の規程などを、会社に入れなくなる前に確保する
  3. 健康保険と年金を切り替える:国民健康保険・国民年金は退職の翌日から14日以内、任意継続は20日以内
  4. ハローワークで失業給付の手続き:倒産による離職は、給付制限がなく、給付日数も多くなりやすい
  5. 未払いの給料は立替払を請求:未払賃金立替払制度は、原則として裁判所の決定などから2年以内に請求する

まず状況を確かめる

「倒産」といっても、手続きによって働く人への影響は大きく変わります。

  • 破産:会社をたたむ手続きです。裁判所が選んだ破産管財人(弁護士)が会社の財産を管理し、従業員は原則として解雇されます。未払いの給料や退職金についての問い合わせ先は、破産管財人になります。
  • 民事再生・会社更生:事業を続けながら立て直す手続きです。雇用が続くこともあれば、事業の縮小で人員削減が行われることもあります。
  • 法的な手続きをとらずに事業が止まった場合:社長と連絡がつかない、事業を停止したまま手続きが進まないといった場合でも、中小企業なら、労働基準監督署長の認定を受けて、後で説明する立替払制度を使える場合があります。まずは最寄りの労働基準監督署に相談してください。

手続きの違いは破産・民事再生・会社更生・特別清算の違いでくわしく解説しています。神奈川県内の法人の倒産情報は、閉店ナビの倒産一覧でも確認できます。

手元に残しておきたい書類

未払いの給料を請求したり、失業給付を受けたりするときは、働いていたことや未払いの額を示す書類が手がかりになります。会社の事務所が閉鎖されると取りに行けなくなるため、できるだけ早く手元に確保しておきましょう。

  • 給与明細、源泉徴収票、給料が振り込まれていた口座の記録
  • 雇用契約書や労働条件通知書
  • タイムカードや勤務表など、働いた日と時間がわかる記録
  • 就業規則や退職金の規程(退職金の額を計算する根拠になる)
  • 会社や破産管財人から届いた通知、解雇を告げられたときの書面

未払いの給料・退職金は、破産手続でどう扱われるか

会社が破産した場合、従業員の給料や退職金は、ほかの借金よりも優先して支払われる仕組みになっています。

  • 破産手続開始前3か月間の給料:「財団債権」として、ほかの債権者への配当より先に、会社に残った財産から支払われます。
  • 退職金:破産手続が終わる前に退職した人の退職金は、退職前3か月間の給料の総額に相当する額(これが破産手続開始前3か月間の給料の総額より少ないときは、開始前3か月間の給料の総額)までが、財団債権になります。
  • それを超える部分:「優先的破産債権」として、一般の債権者よりも先に配当を受けられます。

ただし、会社に財産がほとんど残っていなければ、優先されていても全額は支払われません。破産管財人から債権の届出の案内が届いたら、期限までに必ず届け出てください。給料を受け取れないと生活が難しい場合、裁判所が配当より前の支払いを許可できる仕組みもあるため、破産管財人に事情を伝えましょう。

国が立て替える「未払賃金立替払制度」

会社が倒産して給料や退職金が支払われないまま退職した人に、国が未払いの一部を立て替えて支払う制度です。窓口は独立行政法人 労働者健康安全機構で、労働基準監督署でも相談できます。

使える条件

  • 会社の条件:労災保険の適用事業で、1年以上事業活動をしていたこと。そのうえで、①破産・特別清算・民事再生・会社更生の手続きが始まったこと(法律上の倒産)、または②中小企業で、事業活動が止まり、再開の見込みも支払う能力もないと労働基準監督署長が認定したこと(事実上の倒産)。
  • 働いていた人の条件:パート・アルバイトも対象です。裁判所への申立て(事実上の倒産では監督署長への認定申請)があった日の6か月前の日から2年の間に退職していること。退職後6か月以内に申立てや認定申請がなかった場合は対象外です。
  • 対象になるお金:退職日の6か月前から請求の前日までに支払日が来ていた、未払いの定期の給料と退職金です。ボーナス、解雇予告手当、遅延利息などは対象外で、未払いの合計が2万円未満の場合も対象になりません。

受け取れる額

未払いの給料・退職金の合計額の8割です。ただし、退職日の年齢によって上限があります。

退職日の年齢対象になる未払額の上限立替払の上限
45歳以上370万円296万円
30歳以上45歳未満220万円176万円
30歳未満110万円88万円

立替払金は原則として退職所得として扱われます。「退職所得の受給に関する申告書」を出せば退職所得控除が受けられ、多くの場合、税金はかかりません。

請求の期限と流れ

請求できるのは、法律上の倒産では裁判所の決定などの日の翌日から2年以内、事実上の倒産では監督署長の認定日の翌日から2年以内です。期限を過ぎると受け取れなくなります。

  1. 法律上の倒産の場合:破産管財人などに、未払いの額を証明してもらいます。証明が得られない部分は、証明書などを持って労働基準監督署に相談します。内容によっては、労働基準監督署長の確認を受けられる場合があります。
  2. 事実上の倒産の場合:労働基準監督署長に認定を申請し、続けて未払いの額の確認を申請します。
  3. 請求:請求書と退職所得の申告書を、労働者健康安全機構に出します。機構の電子請求サイトから請求することもでき、その場合は証明書などの添付が不要とされています。
  4. 支払い:審査の後、本人名義の預金口座に振り込まれます。

立て替えた後は、機構が会社に代わりに請求します。会社の支払い義務がなくなるわけではありません。

失業給付(雇用保険の基本手当)

倒産や事業所の廃止で仕事を失った人は、雇用保険の「特定受給資格者」になります。自己都合で辞めた場合に比べて、次のように条件が有利です。

  • 加入期間の条件:離職日以前の1年間に、雇用保険に入っていた期間が通算6か月以上あればよい(一般の離職者は2年間に12か月以上)。
  • 給付制限がない:手続き後の7日間(待期)が過ぎれば、支給の対象になります。自己都合の離職では、原則1か月の給付制限があります。
  • 給付日数が多くなりやすい:年齢と雇用保険に入っていた期間によって、下の表の日数になります。
離職時の年齢1年未満1年以上5年未満5年以上10年未満10年以上20年未満20年以上
30歳未満90日90日120日180日-
30歳以上35歳未満90日120日180日210日240日
35歳以上45歳未満90日150日180日240日270日
45歳以上60歳未満90日180日240日270日330日
60歳以上65歳未満90日150日180日210日240日

受け取れる期間は、原則として離職日の翌日から1年間です。この期間を過ぎると、給付日数が残っていても受け取れなくなるため、早めに手続きをしましょう。

  • 離職票:会社は離職の翌日から10日以内にハローワークへ手続きをし、発行された離職票を本人に渡すことになっています。倒産で会社が手続きをしない、連絡がつかないといった場合は、住所地を管轄するハローワークに相談してください。
  • 手続きに持っていくもの:離職票、マイナンバーを確認できる書類、本人確認書類、写真2枚、本人名義の通帳かキャッシュカードです。

健康保険と年金の切り替え

会社の健康保険と厚生年金は、退職の翌日に資格がなくなります。健康保険は、次の3つから選びます。

選び方手続きの期限と窓口ポイント
国民健康保険に入る退職の翌日から14日以内に、住んでいる市区町村へ倒産による離職では、保険料が軽くなる制度がある
会社の健康保険を任意継続する退職の翌日から20日以内に、加入していた健康保険へ退職日までに2か月以上加入していたことが条件。最長2年。保険料は会社負担がなくなる分、在職中の約2倍が目安(協会けんぽの場合)
家族の健康保険の扶養に入る家族の勤務先を通じて年収の見込みが130万円未満(60歳以上などは180万円未満、19歳以上23歳未満は150万円未満)などの条件がある
  • 国民健康保険の軽減:65歳未満で、倒産などにより特定受給資格者になった人は、前年の給与所得を3割として保険料を計算する軽減を受けられます(新宿区・川崎市などの自治体の案内による)。申請にはハローワークで受け取る雇用保険の受給資格者証などが必要なので、失業給付の手続きを先に進めておくとスムーズです。
  • 国民年金:退職の翌日から14日以内に、住んでいる市区町村で第1号被保険者への切り替えの手続きをします。扶養されていた配偶者(第3号被保険者)も、あわせて切り替えが必要です。
  • 国民年金の保険料の免除:失業や倒産が確認できれば、失業した本人の前年の所得を除いて審査され、保険料の免除や納付猶予を受けられる場合があります(配偶者や世帯主の所得は審査の対象で、納付猶予は50歳未満の人が対象)。離職票や受給資格者証の写しを添えて申請します。

税金の手続き

  • 源泉徴収票:会社は、退職後1か月以内に源泉徴収票を渡すことになっています。破産した場合は、破産管財人に問い合わせます。
  • 確定申告:年の途中で退職して年末調整を受けていない場合、源泉徴収された所得税が多すぎることがあります。確定申告をすれば、払い過ぎた税金が戻ります(還付申告は翌年1月1日から5年間できます)。その年のうちに再就職した場合は、新しい勤務先の年末調整で精算できます。
  • 住民税:給料から差し引かれていた住民税は、退職の時期によって、最後の給料からまとめて差し引かれたり、自分で納付書で払う方法に切り替わったりします(横浜市の案内では、1〜4月の退職は原則一括、6〜12月の退職は普通徴収か本人の申出による一括)。届いた通知を確認し、わからなければ市区町村の税務の窓口に問い合わせてください。

困ったときの相談先

  • 労働基準監督署:未払いの給料、立替払制度、事実上の倒産の認定についての窓口です。
  • 労働者健康安全機構 未払賃金立替払相談コーナー:立替払の請求方法についての相談先です。
  • 総合労働相談コーナー:各地の労働局や労働基準監督署にあり、解雇や労働条件のトラブル全般を無料・予約不要で相談できます。
  • ハローワーク:失業給付、離職票が届かないときの相談先です。
  • 法テラス(日本司法支援センター):収入などの条件を満たせば、無料の法律相談や弁護士費用の立替えを利用できます。サポートダイヤルは0570-078374です。

参考にした公的情報

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