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基礎知識

破産・民事再生・会社更生・特別清算の違い倒産のニュースを読むための基礎知識

公開 2026年10月22日(木) 文:閉店ナビ編集部

「破産手続開始の決定を受けた」「民事再生法の適用を申請した」。倒産のニュースには、似たような言葉がいくつも出てきます。どの手続きかによって、会社がなくなるのか、営業を続けるのか、取引先や利用者への影響はどうなるのかが大きく変わります。この記事では、主な手続きの違いと、ニュースや閉店ナビの倒産一覧を読むときに役立つ用語をまとめました。

この記事の要点

  1. 大きく2つに分かれる:会社をたたむ「清算型」(破産・特別清算)と、立て直す「再建型」(民事再生・会社更生)
  2. 件数の9割は破産:東京商工リサーチの集計では、2025年度の企業倒産の90.5%が破産だった
  3. 誰が会社を動かすかが違う:破産は裁判所が選ぶ管財人、会社更生も原則として管財人、民事再生は原則として今の経営陣、特別清算は清算人
  4. 「申立て」と「開始決定」は別:申立ては会社などが裁判所に求めた段階、開始決定は裁判所が手続きを始めると決めた段階
  5. 裁判所を通さない整理もある:金融機関とだけ話し合う私的整理では、取引先への支払いが続くことが多い

「倒産」には清算型と再建型がある

「倒産」は、会社が借金などを払えなくなり、事業を続けられなくなった状態を広く指す言葉です。法律上の手続きとしては、裁判所を通す法的整理と、裁判所を通さずに話し合う私的整理があり、法的整理はさらに目的によって2つに分かれます。

  • 清算型:会社の財産をお金に換えて債権者に分配し、会社をたたむ手続き。破産と特別清算
  • 再建型:借金の一部を減らしてもらうなどして、事業を続けながら立て直す手続き。民事再生と会社更生

実際に使われる手続きは、破産が大半です。東京商工リサーチの集計(負債額1,000万円以上)では、2025年度の全国の企業倒産1万505件のうち、破産が9,513件で90.5%を占め、この30年で最も高い割合になりました。同社は2025年上半期の分析で、裁判所を通さずに再建を図る私的整理の仕組みが整ったこと、法的手続きを検討する段階では破産以外の選択肢がない例が多いこと、少額の破産の手続き費用が下がったことなどを背景に挙げています。

4つの手続きを比べる

手続き目的と対象会社を動かす人取引先・利用者から見て
破産会社をたたむ(清算型)。会社にも個人にも使える裁判所が選ぶ破産管財人(多くは弁護士)事業は通常止まる。債権は届け出て、残った財産から配当を受ける
民事再生事業を続けて立て直す(再建型)。会社にも個人にも使える原則として今の経営陣。通常は監督委員が監督する営業は続くことが多い。手続き前の債権は再生計画で減らされることが多い
会社更生事業を続けて立て直す(再建型)。株式会社だけが使える原則として裁判所が選ぶ更生管財人主に大きな会社で使われる。担保を持つ債権者も手続きに組み込まれる
特別清算会社をたたむ(清算型)。解散して清算中の株式会社だけが使える清算人(裁判所が監督する)子会社の整理などで使われることが多い。協定や個別の和解で支払いが決まる

破産

会社の財産をすべてお金に換えて、債権者に公平に分配する手続きです。裁判所が破産手続開始の決定をすると、裁判所が選んだ破産管財人(多くは弁護士)が、会社の財産の管理や処分を一手に引き受けます。株式会社は、破産手続開始の決定によって解散し、手続きが終わると会社そのものがなくなります。

  • お店や工場は、多くの場合、開始決定の前後で営業を止めます。
  • 取引先や利用者は、債権届出をして、残った財産から配当を受けます。財産が少なく、配当がないまま手続きが終わる(廃止される)こともあります。
  • 担保を持つ債権者は、手続きの外で担保から回収できます(別除権)。

民事再生

借金の一部を減らしてもらったり、返す期間を延ばしてもらったりして、事業を続けながら立て直す手続きです。今の経営陣が会社の経営を続けられるのが大きな特徴で、通常は、裁判所が選ぶ監督委員(多くは弁護士)が、手続きが正しく進むよう監督します。

  • 会社は、債権をどれだけ減らし、どのように返すかを定めた再生計画案を作ります。
  • 計画案は、債権者の投票で、投票した債権者の過半数と、議決権の総額の2分の1以上の同意を得て可決され、裁判所の認可を受けて効力が生じます。
  • 申立ての直後に、申立て前の借金の支払いを止める保全処分が出ることが多く、取引先への申立て前の代金の支払いも止まります。手続き開始後の取引で生じた代金は、原則として計画とは別に支払われます。
  • 担保を持つ債権者は、原則として手続きの外で担保から回収できます。
  • 計画が可決されなかったり、計画どおりに返せなかったりすると、破産に移ることがあります。

スポンサー企業の支援を受けて事業を引き継ぐ形で再建する例も多く、店舗の一部を閉めて営業を続けることもあります。

会社更生

民事再生と同じ再建型ですが、株式会社だけが使える、より強力な手続きです。原則として経営陣は退き、裁判所が選ぶ更生管財人が経営を担います。担保を持つ債権者も手続きに組み込まれ、更生計画に沿って扱われるため、工場や店舗の土地建物に担保が付いていても、事業に必要な財産を守りやすいのが特徴です。手続きが重く費用もかかるため、主に規模の大きな会社で使われてきましたが、裁判所によっては、経営陣が続けて経営にあたる運用や、比較的小さな会社向けの運用も行われています。

特別清算

解散して清算中の株式会社が、債務超過の疑いがあるときなどに、裁判所の監督のもとで清算を進める手続きです。会社の清算人が手続きを進め、債権者と協定を結ぶか、債権者と個別に和解して支払い方を決めます。協定は、出席した債権者の過半数と、議決権の総額の3分の2以上の同意で可決されます。

親会社が子会社をたたむときや、債権者が金融機関など少数に限られるときに使われることが多く、会社の清算人が引き続き手続きを進められます。

裁判所を通さない「私的整理」

裁判所を通さず、主に金融機関と話し合って借金の返し方を見直す方法です。中小企業では、各都道府県にある中小企業活性化協議会の支援や、2022年に定められた「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」などの枠組みが使われます。主に中堅・大企業では、事業再生ADRと呼ばれる手続きも使われます。

私的整理は、原則として金融機関の債権だけを対象にし、仕入先などの取引先への支払いは通常どおり続けることが多いため、取引先への影響が小さく、事業の評判も守りやすいのが利点です。一方で、これまでの私的整理では、原則として対象となる債権者の全員の同意が必要です。

なお、2026年12月11日には「早期事業再生法」(円滑な事業再生を図るための事業者の金融機関等に対する債務の調整の手続等に関する法律)が施行され、金融機関の債権について、全員の同意がなくても、金融債権者の多数決と裁判所の認可で返し方を変更できる新しい手続きが始まる予定です。

ほかに、会社の代理人の弁護士が「今後の支払いを止める」と債権者に通知し、債務の整理を進めるケースもあります。その後、破産などの法的手続きに進むこともあります。

ニュースや倒産一覧に出てくる用語

申立て
会社や債権者が、裁判所に手続きを始めるよう求めること。「民事再生法の適用を申請」は、この段階を指します。
開始決定
裁判所が、手続きを始めると決めること。破産や民事再生の開始決定は官報に掲載されます。
保全処分
申立てから開始決定までの間に、財産が勝手に処分されたり、一部の債権者にだけ支払われたりしないよう、裁判所が出す命令。
破産管財人・更生管財人
裁判所が選び、会社の財産の管理や処分、手続きの進行を担う人。多くは弁護士です。
監督委員
民事再生で、経営を続ける会社を監督する人。裁判所が選びます。
負債総額
会社が負っている債務の合計。報道では、申立て時点の見込み額が使われることが多く、後で変わることがあります。
債権届出
債権者が、自分の債権の内容と金額を、期限までに届け出ること。届け出ないと配当や計画による支払いを受けられないことがあります。
別除権
抵当権などの担保を持つ債権者が、破産や民事再生の手続きの外で、担保から回収できる権利。
取引停止処分
手形や小切手の不渡りを6か月以内に2回出すと受ける処分で、その日から2年間、金融機関との当座取引や貸出取引ができなくなります。かつては倒産の大半を占めていましたが、手形の利用が減り、今では少数です。手形の交換は、2022年11月から電子交換所で行われています。

閉店ナビの倒産一覧では、裁判所の決定日がわかるものはその日付を、わからないものは情報が判明した日を「判明」として表示しています。手続きの欄の補足に「申立て」とあるものは、まだ開始決定が確認できていない段階の情報です。

取引先・利用者としての動き方

手続きの種類がわかったら、次の記事で具体的な対応を確認してください。

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