お店を利用する方向け
閉店・倒産したお店のポイント・商品券・予約はどうなる?使い切る前に知っておきたいこと
公開 2026年10月22日(木) 文:閉店ナビ編集部
よく行くお店の閉店を知ったとき、気になるのは、たまっているポイントや手元の商品券、払い済みの回数券や予約がどうなるかです。答えは、そのお店が「閉店するだけ」なのか、「運営会社が倒産した」のかで大きく変わります。この記事では、お店を利用する方に向けて、ケースごとの扱いと、今のうちにやっておきたいことをまとめました。
まず確認したいこと
- 閉店か、倒産か:お店の告知や運営会社のホームページで、閉店の理由と、ほかの店舗が営業を続けるかを確認する
- 手元にあるものを書き出す:ポイント、商品券・プリペイドカード、回数券やコース、予約・注文、修理やクリーニングで預けている物
- 閉店日までに使えるものは使う:使えなくなる日と、ほかの店舗やネットで使えるかを確認する
- 倒産の場合は案内を自分から確認する:店頭の貼り紙やホームページ、破産管財人の案内、財務局や官報の公示を確認し、期限のある手続きに申し出る
- 困ったら相談する:消費者ホットライン「188」で、近くの消費生活センターを案内してもらえる
「閉店」と「倒産」で扱いが変わる
お店の閉店の多くは、売上や建物の事情などによる、運営会社の経営判断です。この場合、会社そのものは続いているため、ポイントや商品券は同じ会社のほかの店舗やネット通販で使えることが多く、予約や預かり品も会社が責任を持って対応します。閉店の告知に、ポイントの移行先や、予約・預かり品の扱いが書かれていることもあります。
一方、運営会社が倒産して破産手続に入ると、会社の財産は裁判所が選んだ破産管財人(弁護士)が管理します。お店との直接のやり取りはできなくなり、払ったお金は、ほかの債権者と一緒に、残った財産から分配を受ける対象になります。国民生活センターは、前払いしたお金はほとんど戻ってこないことが多いと注意を呼びかけています。
なお、倒産には、民事再生のように営業を続けながら立て直す手続きもあります。その場合は、お店が営業を続け、ポイントや回数券をそのまま使えることもあります。以下の「倒産した場合」は、主に破産を想定しています。
| 手元にあるもの | 閉店するだけの場合 | 運営会社が倒産した場合 |
|---|---|---|
| ポイント | ほかの店舗やネットで使えることが多い。規約と告知を確認 | 使えなくなることが多い |
| 商品券・プリペイドカード | ほかの店舗で使えることが多い。届出・登録をしている発行者が発行の業務をやめる場合は、払戻しの手続きがある | 発行保証金がある場合は、財務局の還付手続で全額または一部が戻ることがある |
| 回数券・コース・月謝の前払い | ほかの店舗への振替や、残りの返金について会社に確認 | 破産手続で届け出て、分配を受ける。クレジットの分割払いなどなら、残りの支払いを止められることがある |
| 予約・注文 | 会社が対応を案内する | 受け取れないことが多い。払ったお金は破産手続で届け出る |
| 修理・クリーニングで預けた物 | 閉店日までに引き取る。返却方法を確認 | 自分の物なので、返してもらう権利がある。破産管財人の案内に従う |
商品券・プリペイドカード
お金を払って買う商品券、ギフト券、プリペイドカード、残高をチャージして使う電子マネーなどは、資金決済法の「前払式支払手段」にあたり、利用者を守る仕組みがあります。ただし、発行から6か月以内しか使えないものや、乗車券・入場券などは対象外です。
- 閉店しても会社が続く場合:同じ会社のほかの店舗では、そのまま使えるのが一般的です。商品券は原則として払戻し(現金への換金)ができないため、使える場所を確認しておきます。
- 発行者が発行の業務をやめる場合:財務局に届出や登録をしている発行者は、残高を払い戻す手続きをとる必要があります。新聞や官報、ホームページなどで、60日以上の申出期間が知らされます。この期間内に申し出ないと、この手続きでの払戻しは受けられません。
- 会社が倒産した場合:未使用の残高が一定額(基準日に1,000万円)を超える発行者は、その2分の1以上の額を「発行保証金」として供託などで確保しておく決まりがあります。発行者が破産したときは、この保証金から、利用者がほかの債権者より優先して還付を受けられます。手続きは財務局が行い、財務局のホームページや官報で、60日以上の申出の期間と方法が知らされます。個別の通知は来ないため、自分から確認することが大切です。
発行保証金で確保されているのは未使用残高の一部なので、全額が戻るとは限りません。足りない分は、破産手続で届け出ることができます。また、自社だけで使える券で未使用残高が少ない発行者など、払戻しや保証金の仕組みがない場合もあります。業務をやめて払戻しを実施中の発行者の一覧は、金融庁のホームページに掲載されています。還付や払戻しの申出には現物が必要になることが多いため、手元の券は捨てずに保管し、念のためコピーも取っておきましょう。
ポイント
資金決済法で守られる前払式支払手段は、お金などの対価を払って手に入れるものです。買い物のおまけとして無料で付くポイントは、一般にこれにあたらず、払戻しや発行保証金の仕組みはありません。ポイントの扱いは、それぞれのポイントの利用規約で決まります。一方、お金を払って買ったポイントは、前払式支払手段にあたる場合があります。
- お店独自のポイント:閉店に合わせて有効期限が設けられたり、ほかの店舗のポイントへ移せたりすることがあります。閉店の告知と規約を確認し、閉店日までに使い切るのが確実です。
- いろいろなお店で使える共通ポイント:ポイントを運営する会社が別にあるため、そのお店が閉店しても、ほかの加盟店で使えるのが一般的です。
- 運営会社が倒産した場合:お店独自のポイントは、使えなくなることが多いと考えておいたほうが安全です。
回数券・コース・月謝などの前払い
エステや脱毛サロン、スポーツクラブ、学習塾、語学教室などで、サービスの代金を前払いしている場合です。
- 閉店しても会社が続く場合:ほかの店舗への振替や、使っていない分の返金について、会社に確認します。エステ、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相手紹介の7つのサービスで、一定の期間(エステ・美容医療は1か月、ほかは2か月)と金額(5万円)を超える契約は、特定商取引法の「特定継続的役務提供」にあたり、契約期間の途中でも解約できます。解約したときに事業者が請求できる金額には上限があります。スポーツクラブなどは対象外で、扱いは会員規約によります。
- 運営会社が破産した場合:破産すると通常は事業が止まり、サービスは受けられなくなります。前払いした分の返金を求める権利は破産債権になり、破産手続で届け出て分配を受けることになりますが、ほとんど戻らないこともあります。
破産管財人から、届出のための書類が郵送されることがあります。届かない場合でも、官報やお店の貼り紙・ホームページで破産管財人の連絡先がわかれば、問い合わせることができます。払ったことがわかる契約書や領収書、会員証は保管しておきましょう。
クレジットカード・ショッピングクレジットで払っていた場合
前払いの代金をクレジットカードや、契約ごとに組むショッピングクレジット(個別クレジット)で払っていた場合、支払い方法によっては、まだ払っていない分の支払いを止められることがあります。
- 分割払い・リボ払い・2回払い・ボーナス一括払い、ショッピングクレジット:割賦販売法の決まりにより、お店の倒産でサービスを受けられなくなった場合などに、カード会社に対して残りの支払いを拒める(支払停止の抗弁)ことがあります。カード会社に、理由を書いた「抗弁書」を出すのが一般的です。支払総額が4万円未満(リボ払いは現金価格が3万8千円未満)のものなど、対象にならない場合もあります。
- 1回払い:この決まりの対象外です。対応はカード会社によって異なるため、早めにカード会社に相談してください。
支払停止の抗弁で止められるのはこれから払う分で、すでに払った分が戻るわけではありません。いずれの場合も、まずカード会社に連絡し、事情を伝えるのが第一歩です。
予約・注文していた商品や旅行
おせちやケーキ、取り寄せ品などの予約や、代金を払った注文がある場合は、閉店の告知で扱いを確認し、わからなければお店や運営会社に問い合わせます。運営会社が倒産した場合は、商品を受け取れないことが多く、払ったお金は破産手続で届け出ることになります。
旅行会社の場合は、業界の保証の仕組みがあります。旅行会社が倒産したときは、旅行業協会の会員なら協会の弁済業務保証金、会員でなければ旅行会社が法務局に供託している営業保証金から、限度額の範囲で返金を受けられることがあります。
修理やクリーニングで預けていた物
修理に出した時計や家電、クリーニングに出した衣類などは、もともと自分の物です。お店の運営会社が倒産しても、返してもらう権利があります。ただし、未払いの修理代を求められたり、物が外注先にあったりして、すぐに返ってこない場合もあります。
- 閉店するだけの場合は、閉店日までに引き取ります。引き取れないときは、返却の方法を店に確認します。
- 運営会社が破産した場合は、破産管財人が店の中の物を管理しています。店頭の貼り紙やホームページ、破産管財人からの案内に従って引き取りを申し出てください。
- 預かり証やレシートは、自分の物であることを示す手がかりになるので、必ず保管しておきます。
保証やアフターサービス
家電などのメーカーの保証は、買ったお店が閉店しても、メーカーが続いていれば使えるのが一般的です。一方、お店が独自に付けていた延長保証や、無料点検などのアフターサービスは、運営しているのがどこかによって扱いが変わります。保証書や会員規約で運営元を確認し、閉店前に問い合わせておくと安心です。
閉店が決まったときにやっておきたいこと
- ポイントの残高と有効期限、ほかの店舗やネットで使えるかを確認し、閉店日までに使い切る
- 商品券・プリペイドカードの残高を確認し、使える場所を調べる。使い切れないものは捨てずに保管する
- 回数券やコースの残りは、ほかの店舗への振替や返金ができるか、早めに相談する
- 予約や注文、修理・クリーニングの預け物があれば、受け取り方法を確認する
- 閉店日、最終日の営業時間、閉店セールの内容を確認する(閉店ナビの閉店カレンダーでは、神奈川県内の閉店情報と、判明している閉店前の確認事項をまとめています)
「閉店するらしい」といううわさだけで、まとめ買いやチャージをするのは避け、お店や運営会社の正式な告知を確認してから動くようにしましょう。
困ったときの相談先
- 消費者ホットライン「188」:電話をかけると、近くの消費生活センターや消費生活相談窓口を案内してもらえます。
- 破産管財人:運営会社が破産した場合の、届出や預け物の返却についての問い合わせ先です。
- 財務局:商品券・プリペイドカードの発行保証金の還付手続を行います。
- クレジットカード会社:カードで払っていた代金の支払いについての相談先です。
参考にした公的情報
- 前払式支払手段(商品券・プリペイドカード等)の払戻し(金融庁)
- 前払式支払手段 利用者向けパンフレット(日本資金決済業協会)
- ウェブ版「国民生活」2024年1月号 特集「倒産」にまつわる基礎知識(国民生活センター)
- 【エステ】事業者が破産。払いたくない。(クレジット分割払い)/【エステ】事業者が破産。返金してほしい。(クレジット一括払)(国民生活センター)
- 特定継続的役務提供(消費者庁 特定商取引法ガイド)
- 資金決済に関する法律/割賦販売法/特定商取引に関する法律(e-Gov法令検索)