お店を利用する方向け
閉店セールで知っておきたい返品・保証・表示の注意点買う前に確かめたいこと
公開 2026年10月22日(木) 文:閉店ナビ編集部
「閉店につき全品半額」「売り尽くしセール」。閉店セールは、ふだんより安く買い物ができる機会です。一方で、閉店した後は、返品や修理の相談をする窓口そのものがなくなることがあります。この記事では、閉店セールで買い物をする前に確かめておきたいことを、公的機関の情報をもとにまとめました。
買う前に確認したいこと
- 本当に安いか:「通常価格」などの比較価格が、ふだんの販売価格として妥当かを考える
- 返品できるか:店で買った商品はクーリング・オフの対象外。返品の条件を店に確認する
- 保証はどこが受けるか:メーカー保証か、お店独自の保証かを確認し、閉店後の連絡先を聞いておく
- 前払いは慎重に:取り寄せや予約で代金を先に払うときは、受け取りの時期と方法を確認する
- ネットの「閉店セール」は偽サイトに注意:大幅な値引きや、支払い方法が限られるサイトは特に慎重に
「通常価格」との比較表示の見方
セールでは、「通常価格10,000円→セール価格5,000円」のように、販売価格の横に高い価格を並べる「二重価格表示」がよく使われます。景品表示法では、実際よりも著しく有利だと消費者に思わせる表示(有利誤認表示)が禁止されており、消費者庁は二重価格表示についての考え方(価格表示ガイドライン)を示しています。
- 「通常価格」「セール前価格」と書く場合:その店で最近の相当な期間にわたって実際に売られていた価格であることが必要です。そうでない価格を「通常価格」として比べると、不当な表示になるおそれがあります。
- 目安となる期間:セールを始める前の8週間(売り始めてから8週間たっていない商品は、売っていた期間)のうち、半分を超える期間その価格で売っていれば、原則として「最近相当期間にわたって販売されていた価格」とみてよいとされています。ただし、その価格で売っていた期間が通算2週間未満の場合や、最後にその価格で売ってから2週間以上たっている場合はあたりません。
- 期間の表示:この条件を満たさない価格と比べるときは、いつ、どのくらいの期間その価格で売っていたかを正確に書く必要があります。
- 割引率:「最大70%オフ」のような表示も同じ考え方で判断されます。最大の割引率が一部の商品にしか当てはまらないのに、全体が大きく値引きされているように見せる表示は、不当な表示のおそれがあります。
買う側としては、比較価格の大きさより、セール価格そのものがほかの店や公式の販売価格と比べて納得できるかで判断するのが確実です。
「閉店セール」という表示について
景品表示法は、価格などの取引条件を、実際よりも著しく有利だと消費者に思わせる表示を禁止しています。消費者庁の「表示に関するQ&A」でも、閉店の時期が決まっていないのに「閉店セール」として長くセールを続けてよいか、という質問が取り上げられています。
「閉店」と聞くと急いで買いたくなりますが、閉店日やセールの期間は、店頭の掲示や運営会社の公式発表で確かめましょう。閉店ナビの閉店カレンダーでは、神奈川県内の閉店情報を、公式発表で確認できたもの(一次確認済み)とそうでないもの(要一次確認)を分けて掲載しています。
店で買った商品は、原則として返品できない
自分でお店に出向いて買った商品は、クーリング・オフの対象になりません。クーリング・オフは、訪問販売や電話勧誘販売、エステや語学教室などの継続的なサービス契約といった、法律で決められた取引にだけ認められている制度です。なお、ネット通販などの通信販売にもクーリング・オフはありません。
- 返品は店の判断:不良品や、違う商品を渡された場合を除き、お店に返品や交換に応じる義務はありません。レシートがあれば返品できる店もありますが、それはお店のサービスとして決めているものです。
- 気が変わった場合:色が気に入らない、家族に反対されたといった理由での返品は、お店が了承しない限りできません。
- セール品の条件:セール品は「返品・交換不可」とされていることもあるため、レジに持っていく前に条件を確認しましょう。
ただし、店員が品質や用途について事実と違う説明をして、それを信じて買った場合などは、契約を取り消せることがあります。困ったときは、後で紹介する消費者ホットラインに相談してください。
不良品だったとき
買った商品の種類や品質、数量が契約の内容と合わない場合(不良品など)は、民法の「契約不適合責任」により、売主に次のことを求められます。これは2020年4月施行の民法改正で整理されたルールです。
- 修理や交換:修理、代わりの品の引き渡し、足りない分の引き渡しを求められます(民法562条)。
- 代金の減額:期間を決めて修理などを求めても対応がない場合などは、代金を減らすよう求められます(563条)。
- 損害賠償・解除:条件を満たせば、損害賠償や契約の解除もできます(564条)。
- 知らせる期限:種類や品質が合わないことを知ってから1年以内に、売主に知らせる必要があります。ただし、売主が引き渡しのときにそのことを知っていた場合などは、この期限はかかりません(566条)。
閉店しても運営会社が続いていれば、会社のほかの店舗や問い合わせ窓口に相談できます。一方、運営会社が倒産した場合は、払ったお金はほとんど戻らない見込みだと自治体の消費生活センターは案内しています。セールで買った物は、閉店日までに一度使ってみるなど、早めに状態を確かめておくと安心です。
保証とアフターサービス
メーカー保証も、お店が付ける延長保証も、法律で決まったものではなく、事業者がサービスとして内容を決めているものです。期間や対象は事業者ごとに違い、保証期間内でも、落下や水ぬれ、使い方の誤りなどによる故障は対象外になることがあります。
- メーカー保証:買ったお店が閉店しても、メーカーが続いていれば、メーカーの窓口で受けられるのが一般的です。
- お店独自の延長保証・無料点検:運営しているのがお店なのか、別の会社なのかで、閉店後の扱いが変わることがあります。保証書や規約で運営元を確かめ、閉店後の連絡先を聞いておきましょう。
- 書類の保管:無料修理には、保証書など購入日がわかる書類を求められるのが一般的です。保証書とレシートは一緒に保管しておきます。
まとめ買いと前払いは慎重に
閉店セールでは、まとめ買いや、在庫のない商品の取り寄せを勧められることがあります。代金を先に払って後から受け取る場合、受け取る前に運営会社が倒産すると、払ったお金はほとんど戻らないことが多いとされています。
- 取り寄せや予約で前払いをするときは、受け取りの時期と方法、閉店日までに間に合うかを確認する
- 手元の商品券やポイントは、閉店日までに使えるかを先に確認する(くわしくは閉店・倒産したお店のポイント・商品券・予約はどうなる?)
- クレジットカードの分割払いなどで払った場合、お店の倒産で商品を受け取れなくなったときは、残りの支払いを止められることがある。まずカード会社に相談する
「閉店セール」をうたう偽の通販サイトに注意
国民生活センターは2021年、百貨店の支店や免税店の閉店などを理由に、高級ブランド品を大幅に値引きするとうたう広告から、百貨店を名乗る偽の通販サイトに誘導される相談が多く寄せられたとして、注意を呼びかけました。こうしたサイトは代金引換での支払いを求めることが多く、代金引換で受け取ると、届いた商品が偽物でも返金を受けるのは難しいとしています。
警察庁や神奈川県警察は、偽の通販サイトに多い特徴として、次のような点を挙げています。
- ふつうでは考えにくいほどの大幅な値引き
- 「本日限り」などと購入を急がせる表示
- 選べる支払い方法が一つしかない、振込先が個人名義の口座になっている
- 見慣れないドメインや、不自然な日本語
お店の公式サイトで閉店やネットでのセールの案内があるかを確かめ、公式サイトからたどれないサイトでは買わないのが安全です。
困ったときの相談先
- 消費者ホットライン「188」:電話をかけて案内に従うと、近くの消費生活センターや消費生活相談窓口につながります。相談は無料ですが、通話料がかかります。
- クレジットカード会社:カードで払った代金についての相談先です。
- 警察:偽の通販サイトで被害にあったときは、やり取りの記録や振込の控えを保存して、警察に相談してください。
参考にした公的情報
- 不当な価格表示についての景品表示法上の考え方/表示に関するQ&A/有利誤認とは(消費者庁)
- クーリング・オフ(国民生活センター)
- くらしの豆知識 店舗販売(岡山県消費生活センター)/店で買った商品を返品したい(柏市消費生活センター)
- 民法の一部を改正する法律(債権法改正)について(法務省)
- 事業者が倒産・閉店した(杉並区)
- 保証期間内なのに…保証対象外と言われた(奈良県消費生活センター)
- 百貨店の名称をかたる偽通販サイトにご注意ください!(国民生活センター)
- 偽ショッピングサイト・詐欺サイト対策(警察庁)/偽ショッピングサイトに注意!!(神奈川県警察)
- 消費者ホットライン(消費者庁)
- 民法/不当景品類及び不当表示防止法(e-Gov法令検索)